「今日は、『政治』についての授業をしたいと思います。世の中では、若者の『政治的無関心』が叫ばれていますが、みんなは、政治に興味や関心を持っているかな?」
授業の冒頭、私は単刀直入にそう投げかけ、一番前に座っていたビューティーコースの女子生徒を指した。
「私はすごく興味があります」
意外だった。
「政治のどんなところに興味や関心を持ってるの」
「ポスターの顔がウソくさいところとか」
私は思わず噴き出した。
参議院選挙を直前に控えていたこの時期、彼らは街角で候補者のポスターを何度も目にしているだろう。このビューティーコースの生徒は、私がまったく全く予想していなかった切り口から、政治への興味・関心を語ってみせた。そして、それは紛れもなく『本当のこと』であった。
「なるほど、有難う。確かにな。まあ、俺も人のことは言えないから、今後は十分に気を付けさせて頂きます」
と、おどけてみせると、教室は笑いに包まれた。
「氷が溶けたら、何になりますか?」
小学校の理科のテストなどでよく出される問題。答えは当然『水』であり、それ以外の解答は不正解とされるだろう。
しかし、是非、違う視点から考えてみて頂きたい。
もし、ある生徒が、この問いに対する解答として『春』と答えたなら、あなたはどうするだろう?
それを不正解と断じることが果たしてできるだろうか?雪国で生まれ育った私にはできない。
閉塞感が漂う現代社会において、こういった発想こそが新しい可能性の扉を開く原動力になると私は思う。
そして北海道芸術高校はまさにそこを大切にしている高校なのだ。
「政治について関心を持っているのは、ポスターの顔が嘘くさいところです」
私は心の中で彼女に花丸をあげた。
そこから初めて等身大の「なぜ?」が生まれ、そして、そこから学問が始まるのだ。